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北へ。アンソロジー

​<椎名薫の診療記録~クリスマスの奇跡~(スオミパート>

椎名薫の診療記録
~クリスマスの奇跡~(スオミパート)

「ありがとうございました……」
 診察をしてくれた医師に一礼し、診察室を後にする。やはり身体的には特に問題はないらしい。旭川医大の主治医の先生と同じ見解……。やはり後は私の心…精神的な部分の問題なのでしょうか……。
 前十字靱帯断裂……。以前私が負った怪我の名称……。数年前、フィンランドのフィギュアスケートの強化選手に選ばれた私は、一緒に強化選手として選ばれた親友のハンナ・ヤルビネンと共に来る日も来る日も練習に明け暮れていました。もちろん、スケートが大好きだったので、練習は厳しかったけれど、嫌になることはありませんでした。あの事件が起きるまでは……。
 ある時、私はジャンプの練習中に親友のハンナと接触事故を起こしてしまい、右膝の前十字靱帯断裂という大怪我を負ってしまいました。幸い、ハンナには怪我はなかったのですが、この事故を良く思っていない人達の間では、ハンナがわざとライバルを蹴落とすために起こした事故だという噂が立ってしまいました……。
 その一件以来、私とハンナには大きな溝が出来てしまい、私は逃げるように父の生まれ故郷である北海道の旭川にやって来たのです。そして現在は治療とリハビリの甲斐もあって膝の具合も以前と変わらないまでに戻っています。もちろんスケートだって問題なく滑れます。
 ですが、ジャンプとなるとどうしても上手くいかないのです……。
 主治医の先生は身体的には問題ないと仰ってましたが、念の為ということで、札幌にある北海大付属病院の名医の方に診てもらうようにと、紹介状を書いて下さり、先程診察をしていただきましたが、結果は同じでした……。
 やはりハンナに対する負い目やスケートに対する私の気持ちの問題なのでしょうか……。
 今日はクリスマスイヴだというのに私の気持ちは下り坂です……。
「こんなことではいけませんね。日本では病は気からと言います。何か楽しいことを考えないと、ですね」
 私は自分にそう言い聞かせて、俯いていた顔を上げた。そう言えば旭川からの長距離の移動と、診察で今までゆっくりする間もなかったですね。
 通路に設置されている案内図で現在地を確認する。どうやら近くにカフェがあるようです。そこで一息つきましょう。
 そう思いつくと、私はカフェを目指して歩き出した。
 幸いにも迷うことなく目当てのカフェに到着した。それはいいのですが、かなりのお客さんで店内は混雑していた。
「やはり札幌となると混雑具合も一味違うのですね……」
 私は人の流れに流されるがままに列に並び、注文を待った。店員さんからするとこのような混雑は日常茶飯事のようで、手際よくオーダーを取っていくので、すぐに自分の注文の番となった。
 長距離の移動だったせいもあってか疲れた身体が甘いものを欲していたため、私はホットココアを注文した。
 程なくして注文したホットココアがトレイに乗せられ運ばれてきた。私はトレイを受け取ると、周りを見回した。
「困りました……。空いている席がありません……」
 座席は見事に埋まっていて、なかなか空きそうにない。本当なら場所を確保してから注文を頼みに行けば良かったのだろうが、今回は一人だった為席を確保してからの注文は難しかった。二人ならどちらかに先に座席を確保してもらうことも出来たが、一人だと場所を確保するためには座席に何か目印となる自分の所持品を置いておかなければならず、盗難のリスクも生じてしまう……。
「どうしましょう……」
 空いている席が無いか見回しながら店内を歩いていると、一瞬白衣を着た女性と目が合った。見るからに知的そうな印象の女性……。年齢は20代前半ぐらいだろうか?
「こんにちは。もしアナタさえ良ければ相席いかが?」
 不意に彼女から私に向かってそんな言葉が発せられた。
 突然の申し出だったため、私は一瞬立ち止まってしまった。けれどせっかくの彼女の好意を無駄にするのも申し訳ない。私が困っていると思って声を掛けてくれたのですから。
「よろしいのですか? それではお言葉に甘えさせていただきますね」
 私はそう言うと、彼女の向かいの席に腰を降ろした。
「日本語上手なのね」
 落ち着いたいかにも大人っぽい声で彼女が言った。
「ありがとうございます。実は父が日本人なのです」
 私ははニコリと微笑みながらそう答えた。
「そうなの。あ、ごめんなさいね。急に声かけたりして。別に怪しい者じゃないから安心して。見た目で分かると思うけど、この病院で医師をしているの。名前は椎名薫、よろしくね」
 椎名薫と名乗った女性は白衣の胸ポケットの前に付けている名札を私にに分かるように見せながら言った。確かに内科医、椎名薫と書かれている。
「あなたはお医者様なのですね。ジョイ(女医)さんというのでしょうか?」
 ドクターといえば男性が多く、旭川医大の主治医も本日診察していただいた医師も男性だった。やはり女性のドクターはまだまだ少ないのだなと改めて感じた。それと同時にやはり自分も女性なので、同じ女性の医師の方が安心して話せるような気がした。もし相席の声を掛けてくれたのが男性医師ならこうして座っていなかっただろう。
「ふふ、様なんて付けてもらえるほど偉くはないんだけどね。まだ研修医上がったばかりの新米みたいなものだから」
 落ち着いた口調で話す椎名先生からはまるでベテラン医師のようなオーラを感じた。
「すみません、申し遅れました、私はスオミ……スオミと言います。現在は旭川の叔母の家でお世話になっています」
 私ははぺこりとお辞儀をするとそう答えた。敢えて苗字は言わなかった。もしかしたら私がフィギュアスケートの選手であることがバレてしまうかもしれないと思ったからだ。
「スオミ? もしかして母親はフィンランド人かしら? フィンランドって確かスオミ共和国って呼んだりするのよね? あなたと同じ名前ね」
「ハイ、その通りです。お詳しいのですね」
 一瞬、気付かれてしまったのかと思い、少し声のトーンが少し高くなる。
「偶然少し前に本で読んだだけの知識なんだけどね。私、趣味が読書なの。そういえばどうして旭川からこんなところまで? 旭川にも旭川医大とか大きな病院あるわよね? ごめんなさい、話したくなければ無理に話さなくてもいいわ。私が勝手に気になっただけだから」
 どうやら私がスポーツ選手だということは知らないようですね……。私はホッと胸を撫で下ろした。
 椎名先生はココアをひとくち飲むと、カップをテーブルの上に置いた。彼女からは、穏やかな、ゆったりとした時間が流れているような感覚を感じる。初めて出会った人なのに不思議な親しみを感じてしまう。
「実は……数年前に運動中に接触事故を起こしてしまい、膝の前十字靱帯の断裂という大怪我をしてしまいました。その後、相手の方と少し気まずくなってしまい、そのまま父の故郷である旭川にやって来たのです」
 私は詳細は伏せましたが、大体の経緯を説明した。
「それで、怪我の具合は大丈夫なの?」
 椎名先生が優しい表情で言った。
「ハイ。怪我の方は完治したと言っても問題ないと思います。ですがどうしても以前のように動けなくて……。それで今回こちらの先生宛に紹介状を書いていただき、受診にきたのです」
 うすうす気付いてはいたのですが、私が以前のように動けないのはおそらく、精神的なものなのです。自分が今後も以前のようにスケートと向き合って良いのかとという不安や後ろめたさが私の身体を強張らせている……。それに気付かないフリをしているだけなのかも知れません……。
「その様子だと、良い結果は得られなかったようね。それに、その原因にあなた自身、心当たりがあるみたいね」
 よほど思っていることが表情に出ていたのか、椎名先生には私が考えていることが分かるのか、何だか胸の内が見透かされているような感覚だった。
「椎名先生には私の思っていることが分かるのですね、凄いです……」
「そんなことないわ、何となくよ。それに椎名先生って何だかくすぐったい感じがするわ。薫でいいわよ」
 薫さんはクスリと微笑むとそう答えた。
「それに今日はクリスマスイヴよ。ここでこうして出会えたのは奇跡が起こる前触れかもしれないわよ」
 薫さんは言葉を続けると、目の前のココアをコクリと飲んだ。
 私もそれに合わせてコクリとココアをひとくち飲むと、薫さんを見つめた。
「そうですね、こうして薫さんと出会えたのにはきっと何か意味があるのだと思います。今日というクリスマスの奇跡を私も信じてみようと思います」
 私は自分の思いを薫さんに聞いてもらうことにした。
「前向きな気持ちって大切よ。それにフィンランドってサンタクロースの生まれ故郷よね? ならあなたにも今日なら奇跡は起こせるかもね、可愛らしいサンタさん」
 薫さんの柔らかな表情や仕草が私の心を落ち着かせてくれた。
「実は、先程話した事故なのですが、接触した相手というのは私の友達なのです。とても仲の良い、親友と呼べる人でした。ですが、その接触事故を起こしたことがきっかけでその親友とは疎遠になってしまいました……」
 そこまで話すと私は一呼吸置いた。薫さんは真剣な眼差しでこちらの話を聞いてくれている。
「ある時、誰かが言いました。あの事故は私を陥れるためにその親友がわざと起こしたものだ。大怪我をしたの私だけというのが何よりの証拠だと……。しばらくするとその噂はどんどん広まっていき、私自身もどうしていいのか分からなくなってしまい、その親友に対しても何も言ってあげることが出来ませんでした。本当に不慮の事故だったのです。それは私が一番分かっています。なのに……私はどうすることも出来ず、その辛さに耐え切れずに故郷を離れ、父の故郷である旭川に逃げるようにやって来たのです……」
 私は今にも泣き出してしまいそうな声で薫さんに説明する。
「なるほど、辛かったわね。それであなたはその後、親友と話はしたのかしら?」
 薫さんは私を包み込むような優しい口調で言った。
「い、いえ……。こちら(旭川)に来てからは連絡は取っていません。私のせいで辛い思いをさせてしまったと思うとなかなか連絡する勇気が出なくて……。私のことを恨んでいるんじゃないかって思うと怖くなってしまって……」
 私は俯きながらそう答えた。顔を上げると泣き出しそうなのを必死で堪えているのが薫さんに気付かれてしまう…余計な心配をさせてしまう……。
「そうね……彼女、本当にあなたのことを恨んでいるかしら? 親友だったんでしょう?」
 薫さんが私に問いかけた。
「ハイ……。誰よりも大切な親友でした」
 私は薫さんの目をしっかり見据えながら言った。
「なら逆に考えてみたらどうかしら? あなたが親友の立場なら彼女のこと、恨んだりするかしら?」
「そんなこと、絶対にしません! 私の親友はわざとそんなことをするような人ではありません。それは私が一番分かっています!」
 私のの言葉に力が籠もる。
「ふふ、もう答えは出ているんじゃない? 今あなたが言ったことが答えだと思うけど?」
 薫さんが今までで一番優しい表情で私に言った。どうしてだろう、その言葉で何だか私の心が浄化されたような気持ちになった。
「あっ……。私……何でこんな簡単なことが分からなかったのでしょうか……。一番の理解者であったはずの私がこんなことではダメですよね。私はいつだって親友の力になりたい、一緒に私達の夢を叶えたい……だけど、フィンランドまではすぐには行けない……。どうしたら……」

 その時、私の携帯電話が鳴った。
 私は薫さんの顔を覗き込んだ。薫さんは「どうぞ」という代わりに頷いて見せた。
「もしもし……」
 見知らぬ電話番号だったため、私は少し身構えながら通話ボタンを押し、そう言った。
「ヘイ(こんにちは)! スオミ!」
 携帯電話から漏れるほどの大きな声が響いた。
 えっ? この声……この懐かしい声は……。間違いない、私の親友、ハンナの声だ。
「どうして……? 夢じゃないですよね??」
 電話の声は間違いなくハンナだった。私が間違えるはずがない……。
 久しぶりに使うフィンランド語に懐かしさを覚えながら、目には涙が溢れ出して止まらない……。
 目の前では言葉は分からずとも、私の表情で内容を察したのか、薫さんが微笑んでいる。
 時間にして5分程度だっただろうか? 私は携帯電話の通話終了ボタンを押した。
「どうやら奇跡が起きたようね?」
 まるですべてを悟ったかのように薫さんが言う。
「Kiitti(ありがとう)! 本当に奇跡です! 向こうも私と同じ気持ちでした。もっと、早く伝えれば良かった……。日本ではこのようなことを、アンキモよりウニが安しというのでしょうか?」
「それ多分、『案ずるより産むが易し』の間違いよね? とにかく良かったわね。クリスマスの奇跡に感謝ね」
 まだまだ日本語は勉強不足のようですね。
「それと、スミマセン! 実は親友が私に会うためにフィンランドからやって来たみたいで、実は今旭川空港に到着したらしいのです……。なので私、急いで戻らなければいけません。親友には私の叔母の家の住所を伝えてあるので大丈夫だとは思うのですが……」
 私は薫さんに事情を説明し、叔母にも連絡を入れさせてもらった。
「そうなると、ここから札幌駅まで行って、汽車を待つとなるとかなりの時間のロスになるわね……。分かったわ、病院の正面玄関で待っててくれる? 今日はクリスマスイヴだもの、とっておきのトナカイを用意するわ」
 薫さんはそう言うと、どこかに向かって駆け出した。
「日本にもトナカイがいるのでしょうか……??」
 正面玄関に到着し、程なくすると、向こうの方から車のエンジン音が聞こえてきた。
「お待たせ! さっ、乗って!」
「えっ? 薫さん?」
 私服に着替えた薫さんが、オレンジ色のスポーツカーに乗って現れたのだ。
「ここから札幌駅に戻って汽車を待つより直接車で旭川に行くほうが早いわ。安心して? ちゃんと寒冷地仕様にしてあるから。私が可愛いサンタクロースを旭川までこのバルケッタ(トナカイ)で送ってあげるわ。 彼女、待ってるんでしょ?」
 そう言うと薫さんは助手席のドアを開けてくれた。
「すみません、いいのですか?」
「もちろん、せっかく掴んだ奇跡ですものしっかりモノにしないとね。お代は高くつくわよ」
 薫さんは悪戯っぽく笑うと、シフトノブをニュートラルからLOWに放り込んだ。
「行くわよ! このトナカイは小さな見かけによらずパワフルよ」
 勢いよくバルケッタは旭川を目指して走り出した。
「あ、安全運転でお願いします!」
 北海大付属病院を出発してから1時間半ほど経過しただろうか? 車は滝川を通過したところだ。
「知ってる? 滝川市って松尾ジンギスカンの発祥の地なんですって。北海道民なら一家にひとつはジンギスカン鍋があるって言われるぐらいだから、ジンギスカンは道民のソウルフードと言ってもいいかもしれないわね。あなたはジンギスカン好き?」
 不意に薫さんが呟く。
「はい。大好きですよ。ジンギスカンはソウルフードなのですね。フィンランドでトナカイを食べるのと同じ感じでしょうか? 文化の違いがあるのでしょうが、この話をするとトナカイを食べるなんて残酷だと言われることも多いです……」
 フィンランドではトナカイを食べるのは当たり前のことですが、日本人である薫さんにとっては普通ではないことかもしれません。もしかしたら引かれてしまうかもしれませんね……。
「そうね、確かに日本じゃトナカイと言えば、プレゼントを運ぶサンタクロースのパートナーというイメージが一般的だものね。でもその国にはその国の考え方や文化があるわ。今でこそ日本のお寿司は海外でも人気だけど、国によっては魚を生で食べるなんてあり得ないって考えの国だってあるわ。そこが難しいところでもあり、面白いとこでもあるんじゃないかしら? 私はそう思うわ。機会があれば一度トナカイの料理も食べてみたいわね。って、でもクリスマスにする話じゃないかもね」
「確かにそうですね」
 二人で顔を見合わせて笑った。薫さんはフィンランドの文化について理解を示してくれたのだと思うと、何だか自分が認められたかのようで嬉しかった。
 そろそろ北大を出てから2時間と少しが過ぎただろうか、見慣れた景色が目に入って来た。
「しばらく真っ直ぐ行くとすぐに叔母の家が見えます」
 薫さんを最終目的地である、私の叔母の家に誘導する。
 家の前には栗色の髪の女性が息を白く凍らせながら私の帰りを待ってくれていた。
「スオミ!」
「ハンナ!」
 私は車のドアを開け、外に出ると、待ちわびた再会を懐かしみハンナと抱き合った。色々と話したいこと、謝りたいことがあるのに言葉が出てこない……。それはハンナも同じようで、二人して抱き合ったまま泣いた。言葉はなくてもハンナの想いが体温とともに伝わってくる……。
「それじゃ私はこれで。素敵なクリスマスを」
 そう言って薫さんは車の窓から手を振った。
「薫さん! 本当にありがとうございました! なんとお礼を言ったらいいか…私……」
 薫さんに駆け寄る。
「あら? お代は高くつくって言ったわよね? そうね、この貸しは見事に復帰してリンクの上で返してもらおうかしら、銀盤の妖精さん?」
 薫さんは悪戯っぽくそう言って笑ってみせた。
「知っていたのですか?? そういえば私はハンナのこと親友としか言ってなかったのに女性であることも分かっていたようでしたよね……」
 私はは少し驚きながら言った。
「ふふ、あなたはあなたが思っている以上に有名人なのよ。それじゃ期待しているわね」
「ハイ、必ずリンクに戻ります! そして約束を果たしますから見ていて下さいね!」
 そう言って薫さんにお辞儀をすると、薫さんは手を振り車を走らせた。最後の最後まで素敵な女性だった。

 あれから数日、昔以上に絆の深まった私とハンナはそれぞれ別々の地で同じ目標に向かって歩き出していた。ハンナはフィンランドで、私は日本で……。
 私は私の背中を押してくれた薫さんにそのことを伝えたくて、年賀状を書いてみた。薫さんの家の住所は分からなかったので、北海大付属病院宛てに送ることにした。今頃は読んでくれている頃だろうか……。
 薫さんとの約束を果たすためにも私は今一度銀盤の上に戻る決意をした。
 
 数ヵ月後……。
 私は全日本スケート選手権で優勝を果たした。
「優勝おめでとうございます」
「見事な4回転ジャンプでしたね」
「今後の活動予定は? やはりフィンランドに帰るんですか?」
 代わる代わる私に向ってマイクが向けられる。
「いえ、日本の選手としてオリンピックを目指します」

 それからさらに1年後……。
「今、一人の選手が日本スケート史に残る大きな偉業を成し遂げました! 表彰台の上では北野スオミとハンナ・ヤルビネンが今、笑顔で抱き合っています!」
「数々の困難を乗り越え、再び銀盤へと舞い戻った日本代表の北野スオミ! かつてのライバル、フィンランドのハンナ・ヤルビネンと並び、堂々の金メダル! 喜びの涙を流しながら、お互いの健闘を称え合っています!」
 テレビからは鳴り止まない歓声がいつまでも響きわたっていた……。


Fin

 

あとがきという名のいいわけ

皆様こんばんは、sayです。今回はクリスマスということで、椎名薫の診療記録クリマススバージョンを書かせていただきました。
 今回もマスターである嘉麟さんに、「クリスマスなので何か書きましょう」と指令を受け、なおかつキャラを選出(無茶振りw)していただきました。普段関りがなさそうな二人でいきましょうということになり、薫さん&スオミとなりました。主人公キャラは登場しませんので恋愛系のお話ではないのであまり盛り上がりはないかもしれませんが、個人的には結構好きなssになりました(自己満足です)。
 設定としては、薫さんはWIの主人公と出会い、お付き合いを開始し、研修医期間を経て少し経過した頃としています。
 スオミの方はハンナとの接触事故のあと、故郷のフィンランドから旭川にやって来てしばらく経過した頃をイメージしています。ですので、DD主人公にはまだ出会っていませんし、出会う前にすでに薫さんとの出会いで精神的にも強くなってしまっています(笑) いわゆるパラレルワールドというやつでしょうか?
 最初この二人でどんなssを書こうかと悩みましたが、幸いスオミはフィンランド出身でサンタクロースの生まれ故郷ということなので、そこから話を無理矢理広げていきました。
イメージ的には小説版北へ。的な感じでしょうか?(そんな素敵なものではないですが)しかも今回はシリーズを飛び越えてのマッチングとなりました。薫さんが25、6歳でスオミが17歳ぐらいの設定でしょうか?
 ちなみに薫さんとお付き合いをしているWIの主人公は看護学校に入学する直前で受験勉強中という設定で、今回登場はありませんでした。
 今回はいつもと違い、薫さん視点とスオミ視点の両方で書いてみました。特に深い意味は無いのですが、たまにはこういう書き方もいいかもしれませんね。
 ここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。皆様あってのssです。日々精進していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。それではまた次回ssでお会いしましょう。


2020.12月 say

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